さてさて、困ったことになりました。ニュースで速報が出ていましたが、ふるさと納税におおきな変化が起きそうな気がします。現時点で分かっていることを調べてみました
現時点で公開されている文書を読んで、個人で判断したものです。正式な見解は楽天から出ると思うので、お待ちください。
総務省からのお達しの内容
2024年6月28日に総務省から改正が発表されました。ふるさと納税の返礼品競争が過熱しているのを見かねて、ルールを追加したというのが背景のようです。
改正案ではなく改定と書いてあるので、これは確定したものですね。
文書は3つあります。
・改正告示新旧対照表(令和6年総務省告示第203号)
・ふるさと納税に係る指定制度の運用についてのQ&A(令和6年総税市第65号)
・ふるさと納税の指定基準の見直し概要
ちゃんと読むべきは一番上の「改正告示新旧対照表」ですが、難しくて読み切れないので2番目のQ&Aの資料を読みました。
<主な改正内容>
- 寄附に伴いポイント等の付与を行う者を通じた募集を禁止すること。(募集適正基準の改正)【令和7年10月1日から適用】
- 「区域内での工程が製造等ではなく製品の企画立案等であるもの」や「区域内で提供される宿泊等の役務」について、当該地方団体で生じた付加価値や、地域との関連性をより重視した形で、基準を見直すこと。(地場産品基準の改正)
一番の衝撃事実は、ポイントを付与するサイトでふるさと納税をやることを禁止する ということですね
楽天が始めた署名活動
楽天がユーザが行ったふるさと納税に対して行っているポイント付与は、自治体の手数料とあんまり関係ないのですよね。勝ち倍の+1倍もマラソンの+10倍も楽天側の手出しです。楽天のシステム利用料として8%~10%くらい取られている中から出ているので、負担が0というわけではないですけど。
しかも、購入者に渡している通常ポイントの1%分(キャンペーンではないやつ)も、事業者負担になるところ、ふるさと納税の場合は楽天負担にしているようです。
楽天は地方をエンパワーメントするのが使命なので、ふるさと納税を通じてユーザと地域を結びつけるのは重要ですね。ということで、楽天がポイント付与禁止についての反対署名(ポイント付与を継続させて欲しいという署名)をやっています。署名して変更される希望は薄いですが、今回の変更に納得いかない人は署名をしてみてください。
FAQ文書の中のポイント付与の箇所
さて、本題のポイント付与禁止の部分を読み込んでいきます。まずは、FAQの6ページ目から始まる「問1の3」がポイント付与関係の変更点の説明箇所です。
問1の3
「第一号寄附金の寄附に伴って寄附者に対し金銭その他の経済的利益(第一号寄附金に係る決済に伴って提供されるものであって、通常の商取引に係る決済に伴って提供されるものに相当するものを除く。)を提供する者(第三者を通じて提供する者を含む。)」(告示第2条第1号ロ⑵)には、どのような場合が該当するか。
この中で、重要な考え方が、「第一号寄附金の寄附に伴って寄附者に対し金銭その他の経済的利益」という点です。この単語がカギになってます。寄付したひとに金銭的なお得を与えるなということです。FAQには具体的な例が3つ書いてあります。
〇 回答1個目
ポータルサイト運営事業者等により、直接・間接を問わず寄附者に付与されるポイント等(「マイル」、「コイン」等その名称を問わず寄附者に付与される経済的利益をいう。以下同じ。)については、広く「第一号寄附金の寄附に伴って寄附者に対し金銭その他の経済的利益」に該当する。
ふるさと納税に係る指定制度の運用についてのQ&A
楽天市場での買い物行動に読み替えると、
楽天市場(ポータルサイトのこと)のふるさと納税を通じて寄付をしたことによって、もらえるポイントは直接・関節を問わず経済的利益と判断する。
おそらく、直接のポイントとは楽天自信が負担して付与するもの、間接のポイントは楽天以外が付与するもの(おそらく店舗負担のポイント)のどちらも、追加の経済的利益とみなされるので禁止になりそう。
〇 回答2個目
また、クレジット会社やキャッシュレス決済事業者等により、ふるさと納税に係る寄附に係る決済に伴って付与されるポイント等については、「第一号寄附金に係る決済に伴って提供されるものであって、通常の商取引に係る決済に伴って提供されるものに相当するもの」に該当するが、これらのうち、ふるさと納税に係る寄附に係る決済を対象として追加的に付与されるものについては、「通常の商取引に係る決済に伴って提供されるものに相当するもの」に該当しない。
ふるさと納税に係る指定制度の運用についてのQ&A
ここはちょっと注意ありです。
楽天ふるさと納税をクレジットカードなどで行った場合にもらえるポイント(クレジットカードの決済金額に対する楽天ポイント)は、通常の商取引に該当するので禁止とはしない。
ただ、ふるさと納税のカード支払い額に対して10倍のポイントを戻すような施策をやる場合は、通常の商取引には該当しない。追加分は経済的利益と判断する。
〇 回答3個目
また、いわゆるポイントサイト等を経由してポータルサイトに遷移し寄附を行った際に当該寄附に伴って付与されるポイント等については、当該ポータルサイトの運営事業者等により直接寄附者に対して付与されるものでなくても、寄附に相当程度関連するものであると考えられることから、「第一号寄附金の寄附に伴って寄附者に対し金銭その他の経済的利益」に該当する。
ふるさと納税に係る指定制度の運用についてのQ&A
ハピタスなどのポイントサイトを経由して、ポータルサイト(楽天)に行き寄付をした場合にもらえるポイントは、楽天から与えられるものではないが、経済的利益と判断する
つまり、Rebatesという独立したサイトから楽天へ遷移をしてふるさと納税をするようにします。楽天p市場ではポイントは付かないけど、Rebatesからポイントをもらえるようにしよう、というのは禁止ということですね。
この変更は、2025年10月から行われるので、
- 2024年の残り半年間は、いままで通りポイントを付けることができる
- 2025年も9月30日までの寄付に関しては、いままで通りポイントを付けることができる
2025年の10月以降は禁止となるので、来年のふるさと納税は9か月で終わらせるのがよいですね。あと2年分まではなんとかなります。
広告手法に言及している問3と問5
今回の公告の関心の大部分がポイント付与のほうに行きがちですが、ポイント部分の他に広告宣伝手法に触れている問3と問5が気になりますね。
なぜ気になるか?というと、変更内容も気になるのですが、こっちの部分は2024年10月(3か月後)開始だからです。
問3 広告媒体のこと
問3
ふるさと納税の募集に際して、新聞等の各種広告媒体に返礼品等の情報を掲載することは、すべて「返礼品等を強調した寄附者を誘引するための宣伝広告」(告示第2条第1号ハ)に該当するのか。
新聞等の各種広告媒体において、例えば、ふるさと納税の使途等を紹介してふるさとへの支援を呼び掛ける目的や、移住・定住を促す目的、あるいはシティープロモーション等の目的で広告を掲載する場合に、付随的に返礼品等の情報を掲載するといったものは許容される。
「返礼品等を強調した寄附者を誘引するための宣伝広告」に該当しない限り、宣伝広告を行う場合に、どの広告媒体を使うかについては、地方団体の自主的な判断に委ねられる。
新聞等の各種広告媒体とありますが、ブログやアフィリエイトメディア、Xでのツイートも広告宣伝媒体にあたると思いますので、一般人も対象になりそうですね。
地域を押し出すことが目的のコンテンツのなかにふるさと納税や返礼品のことに触れている(おまけになっている)ものは許容される。逆にいうと、返礼品をメインにしたものは許容されない。と読めますね。
あと、「返礼品を強調した寄付者を誘引するための宣伝広告」(詳細は問5)に該当しなければ、どの広告を使うのかは自由とありますね。これも逆にいうと、楽天アフィリエイトでふるさと納税を出すなら、「返礼品等を強調した寄附者を誘引するための宣伝広告」に該当する表現になっていないことを、自治体が責任を持つということでもありますね。
ということで、問5を読んでみましょう
問5 広告記載内容のこと
問5
「適切な寄附先の選択を阻害するような表現」(告示第2条第1号ニ)とは具体的にどのような表現か。
「適切な寄附先の選択を阻害するような表現」としては、具体的には、「お得」、「コスパ(コストパフォーマンス)最強」、「ドカ盛り」、「圧倒的なボリューム」、「おまけ付き」、「セール」、「買う」、「購入」、「還元」などが考えられるほか、キャンペーンのような形態で、通常と比較して「必要寄附金額の引下げ」や「個数の増量」を行う旨を併記することも当該表現に該当する。
回答にあるようなワードを使ってふるさと納税を勧めることは、返礼品にフォーカスをしていることになり、見た人が寄付先の選択するときに影響を与えるので禁止されます。「セール」「買う」「購入」(そもそもふるさと納税は、カートに入れて購入の体を取っているが厳密には購入ではない)は、使いがちですので要注意ですね。
値下げっぽいワードも禁止、いまだけ個数が増えてるのでお得!みたいなのも禁止ですね。
まとめ
問3と問5を合わせて読むと、
- 地域を全面に押し出すことが前提
- 返礼品をおまけの扱いになるコンテンツを作ること
- 安いだのお得だのといった脊髄反射的に購入活動が発生しそうな言葉を入れない
これを守ろうとすると、Xでふるさと納税をアフィリエイトするのは難しくなりそうですね。
問3と問5にある部分(告示第2条第1号ハ、告示第2条第1号ニ)は、2024年10月1日からなので、楽天側から早めのアナウンスが欲しいところです。
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