大阪堺市出身!国家の安全保障や国益優先の信念を貫く行動派!

日本のこころを大切にする党 西村眞悟

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月曜評論 眞悟の憂国

平成14年8月号

この夏、新たな痛恨の思いをもって過ごす。我が国の中枢には、戦略思考がないために繰り返し陥る錯誤がある。錯誤であるから、それに陥っている本人や組織には自覚がない。しかし結果として、戦略的敗北へと国を導く。

それは、六月のサミットのことである。そこで我が国総理大臣は、二〇〇六年のサミットをロシアが主宰してモスクワで開くことに留保を付せず、歓迎して帰ってきた。

十年前のソビエト崩壊からロシア誕生は、我が国の対露外交に最大のチャンスが到来したことを示していた。しかし、実際は最大の外交的敗北を喫したのである。それは、橋本総理のエリティン大統領に対する敗北に始まり、サミットのモスクワ主宰の歓迎を以て完成した。つまり橋本は、ロシアに対して、北方領土における我が国の法と正義の原則を放棄した。そして、小泉は、サミット参加国に対し、留保なくサミットのモスクワ主宰を認めることによってロシアの北方領土不法占拠を容認したのである。まさにこの大敗北が、錯誤に因って生 じている。錯誤。然り、未だ本人と組織に自覚が無い。

そして真夏に入り連想するのだ。本人と組織に未だに自覚のない痛恨事を。それは、なぜ昭和十七年四月にインド洋に入った連合艦隊が、そのまま留まらずにミッドウェーに向かったのかということである。六月七日にミッドウェーで敗北したから言っているのではない。ミッドウェーで勝つか負けるかは戦術の次元である。国家は戦に戦略で勝たねばならない。従って、インド洋という戦略的要衝になぜ気付かなかったのかと、慨嘆しているのだ。しかし、連合艦隊は、国家の戦略から離れて動いた。ドーリットル中佐の指揮するまことに見事なB17による東京の特攻的空襲に敏感に反応したのである。博打への挑発に乗ったようなものである。この戦略眼なき司令長官の錯誤が、国家を破綻させた。

さて、連合艦隊がインド洋の制海権を確保して居座ればどうなったか。イギリスとの連絡が絶たれたインドは、独立する。インド経由の蒋介石支援ルートは切断される。インド洋からの補給が断たれたエジプトのイギリス軍は、ロンメル将軍の前に敗北する。こうなれば、欧米に支配された全アジアから支配者が駆逐される。つまり、民族の自由のためという大西洋憲章における米英の戦争正当化の精神を、日本がアジアに於いて実践したということになる。そして、ガダルカナル沖の珊瑚海などの攻勢限界点を越えた彼方に連合艦隊を出さずに、従来からの方針であるサイパンのラインでの国防圏の堅守に戦術を集中すれば、我が国は、アメリカに負けることはなかったのだ。また、我が国が求めたように、支援ルートを断たれた蒋介石との和平が実現すれば、中国の共産化は阻止されたであろう。そうすれば、毛沢東の支配下で八千万人ともいわれる人民が殺されたが、この人類史上空前絶後の悲劇も回避出来た。我が国の連合艦隊には、これだけの戦略的力があったのだ。

戦争と現在と二つの痛恨の例をあげた。そして、思うのは、歴史の教訓に学ばない政府には、何時まで経っても戦略が生まれないということである。我が国では、政府も自治体も、歴史の教訓に学ぶというとき、戦争の悲惨を教え続ければそれで済むと心得ている。しかし、これは、戦争を無条件で賛美する態度の裏返しであり、単なる思考停止に過ぎない。真に歴史の教訓に学ぶとは、負けた戦争に於いて勝てた要因を点検し、勝った戦争に於いて負ける要因を究明してそれぞれ忘れず、国家の将来に生かすことである。