大阪堺市出身!国家の安全保障や国益優先の信念を貫く行動派!

日本のこころを大切にする党 西村眞悟

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月曜評論 眞悟の憂国

平成14年3月号

本論亡き外交

田中外務大臣の「外務省改革」や「ムネオハウス」の問題で、我が国政治が回っている。絶望的な低次元である。これを眺めていると虚無的になる。「外交」とは何かという本論が無いのである。相手は斯くの如きものである。しからば、我は斯く斯くの政戦略を行使すべし。よって、それを可能とする外務省改革が必要となる。この論理が政府首脳の口からかつて展開されたであろうか。この論理を駆使し得ない宮廷政治に媚びて出世を図ろうとする外務省に、嘗ての「外交官」が死滅しているのは当然である。「外交官」のいない外務省など解体して「儀典局」か「接待局」にすればいいのだ。

さて、ロシアとは何か。橋本総理と外務省は、日露会談をセットするに際し、ただエリティン個人に期待したのである。そのために、約一兆円のカネをエリティン政権に貢いだ。その上で、クラスノヤルスクから川奈までの会談で戦後外交最大の失策を犯したのだ。即ち、北方領土に関して我が国が一貫してきた原則である「一括返還」の主張を捨て去り、「国境線の確定」を提案したのである。これにより、我が国は、領土に関する国際的に最強な「法と正義」の立場をドブに捨てた。つまり、ロシアに「不法占拠」と言えなくなったのだ。そして、この橋本派の中にいて日露間で泳ぎ、「領土問題先送り論」を論じたのが野中幹事長、「二島返還先行」を論じたのが鈴木宗男であった。日本側の原則放棄と野中・鈴木による国論分裂という最大の効果を確認したエリティンは、以後一兆円のカネを手にして逃げの一手を貫き、プーチィンに政権を渡しておさらばした。

では、このプーチィンとはいかなる相手か。彼は、旧来の共産党のメロディーに「南の海から北の大森林まで、全て聖なるロシアの大地」という歌詞をもつロシア国歌を制定し、沖縄サミットの直前に北朝鮮を訪問して、「北朝鮮のミサイルは平和目的のもの」という声明を発して友好善隣条約を締結した。そして、韓国との間では半島を縦断する鉄道である京義線をシベリア鉄道に連結する交渉を始めた。さらに、アメリカに対抗するために中国と戦略的パートナーシップを組んだのである。つまり、プーチィンの行動は、日露戦争前夜と似通うロシアの大国意識と伝統的支配圏への執着を具体的に現したものなのだ。

そこでこのプーチィン相手に我が外交は何をしたのか。イルクーツクで、落ち目の森総理大臣と会って貰った。そして、四十五年前に日露間で共同宣言がありましたなあ、と発言してもらっただけである。

橋本から森に至る歴代総理大臣の政権は、ロシアに一兆円のカネを渡しながら、領土における我が国の「法と正義」を捨ててきたのである。この大きな退廃的な流れの中にあって、国論分裂を顕在化せしめる発言を繰り返したのが前記の二人である。外務官僚は、彼らの靴の先を舐めていた。そして、「ムネオハウス」も出来上がる。

私は、森内閣の時、領土における「法と正義」の回復と、自分の政権浮揚のためにプーチィンに借りを作るイルクーツク会談はすべきではないとする衆議院本会議質問を行った。この私の質問に対しては、内容はともかく総理大臣答弁で尽きている。しかるに、この総理答弁を無視して対露外交担当の高級官僚が自分達の正当性を説明しに来た。誰から命じられたものなのか。彼らには、国益と官僚的保身の区別がつかない。しからば、田中真紀子に外務官僚が自分の指輪を買って来いと命じられてもおかしくはない。橋本以来の日露交渉を担当した外務官僚はこの程度の値打ちしかない。