大阪堺市出身!国家の安全保障や国益優先の信念を貫く行動派!

日本のこころを大切にする党 西村眞悟

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月曜評論 眞悟の憂国

平成15年9月号

戦後外交最大の崩壊が始まっているのではないか。北京における北朝鮮に関する六カ国協議である。日本政府は、拉致問題を持ち出す。

しかし、相手にされるのか。

私が相手国大使なら、「なるほど、しかし、それだけ深刻な問題なら、何故、貴国は二十年以上も放置してきたのか」と尋ねるであろう。さらに、「それほど重大なことなら、今まで貴国で何か取り組んだことがあるのか、教えて欲しい」、「貴国の国民のことであるのに、貴国は今まで何もしてこなかった、その何もしてこなかった国が、我々にだけ何かしてくれというのはおかしいではないか」と追い討ちをかけるであろう。そして、この追い討ちは正しいのだ。反論の仕様がないのだ。日本政府は現実に何もせず、打っている手は逆なのだ。つまり、日本政府は事態を以下のように、主導的にコントロールして六カ国協議に臨んでいなければならなかった。

すなわち、我が国は、独裁者金正日が、日本人拉致を公然と認めながら、被害者と家族を解放しない時点で、北朝鮮に対する人・物・金の流れを止める経済制裁を断固として発動していなければならない。そして、このたびの六カ国協議に臨む。中国やロシアから我が国に、「北朝鮮が音を上げている。この協議の期間中でも制裁を緩和してやってもらえないだろうか」との提案がある。もちろん、これは北朝鮮が、日本の態度を緩和させるために、中国やロシアに懇願した結果である。

そこで我が国は、おもむろに、北朝鮮による日本人拉致問題を持ち出して次のように要求する。

「貴官らは、日本人のことをご存知ない。自国民が二百名以上北朝鮮に拉致されているのだ。これらの同胞が帰国できなくて、どうして制裁を緩和できるのか。貴国が仲介に入ったと受け取るが、仲介に入った以上、北朝鮮に拉致した日本人を今すぐ帰すように強く圧力をかけるのが、ホスト国の勤めである」

現実に、拉致被害者家族会と拉致救出議員連盟は、一貫して北朝鮮に経済制裁を実施するように政府に要請してきたのである。この要請を無視しつづけ、北朝鮮の独裁者の意向だけに気を使い、「懇願」以外の何のアクションも起こさなかったのが、日本政府であった。誘拐犯人に、被害者解放を「懇願」すれば、身代金の要求を呼び込むのは自明のことではないか。相手は、世界公認の「ならず者」、「悪の枢軸」なのだ。

そして、このたびの世界注視の中の、日本政府の「懇願」だ。さて、この我が国の状態は、そもそも「国家」なのか。国家ではなく、既に「香港」ではないか。かつて、「香港」には、六百万人の裕福な市民がいた。しかし、自らを守る手段も、自らの運命を決する手段も持たなかった。その結果、他人つまりロンドンと北京の話し合いによって運命を決定された。

かつて、「日本」は豊かであった。しかし、政府に自らの国民を守る決意も、取り返す覚悟もなかった。そして、「平和を愛する諸国民」に懇願して国家と国民の安全を守ってもらうことしかしなかった。そして、当然のことながら、他人によって運命を決せられることを選択した。同志よ、この事態が、戦後最大の敗北と屈辱でなくてなんであろうか。

かつて、私は、橋本内閣時代に、対露外交を中心とした、戦後外交最大の敗北がもたらされたと思っていた。即ち、橋本総理は、ソビエト崩壊後の最大のチャンスに、北方領土において「線引き」の提案をし、「領土における法と正義」をどぶに棄てた。そして、日本海における竹島の韓国軍による要塞化工事を放任した。さらに、東シナ海の尖閣諸島に中国人が上陸することを放任した。これ、戦後外交最大の敗北だと思っていた。  しかし、さらにどん底があった。対北朝鮮に関する主権国家外交の屈辱的崩壊である。